奇妙な店長の戯言部屋

百合好きオタによる妄想と百合の戯言な日々

こおりの瞼(吉川愛歩)


こおりの瞼 (講談社F文庫)

こおりの瞼 (講談社F文庫)


<あらすじ>
赤ん坊のときに親から棄てられた亜子。7歳のときに施設に預けられた律子。養護施設でお互いを支えながら育ってきた二人は、性愛を超えた絆で結ばれていた。お互いがお互いの喜びも苦しみも共有するように…。一途に慕う亜子を見ながらも、年上の律子は、新たな人生の扉を開く。彼との交際、そして妊娠。律子の全てを受け入れて愛するはずだった亜子。しかし、二人の間に立ったさざ波は大きなうねりとなっていく。亜子の望む世界が崩れていく。純なる魂が永遠の想いのために自らに課した責めとは……。






以下ネタバレ

                                • -

古本屋でたまたま手に取ってあらすじを読んだら、女性同士の恋愛っぽかったので即購入。
男と女の間に揺れた末の
だーいどーんでーんがえしー (大どんでん返し)
を期待していたんですが、、、



うわぁ。
読後の気分はその一言ですね。




「二人の間に立ったさざ波は大きなうねりとなっていく。」ってことだったんで、
そんなにいいオチではないとは思ってましたが、
予想していたオチよりも少し酷い展開でした。
けど、予想していたオチよりも亜子が幸せになれたと思います。
ただ一心に愛情を求めた結果です。




「汚れなき魂は闇に救済を求めた……。」
という帯と、題名からある意味オチは読めてしまうかも。
愛していたいから、愛されていたいから、亜子が下した決断は。。。





彼と亜子の間で揺れた律子。
愛する男と愛する女とともにいることは出来ないのか?
まあ出来ないでしょうね。
どちらとも一緒にいるなんてのは傲慢ですよ。
女と女と男。
女同士の安らぎと男女の安らぎは別もんですから、天秤にかけられた女は堪ったもんじゃないっ!
個人的に亜子の気持ちに共感。(ここまで濃くはないですけど、、、)




章ごとに亜子視点と律子視点で入れ替わって、それぞれをどれほど大切に思っているのかがわかるし、
けっこう読みやすいのでオススメしたいんですが、
残念なのが登場人物の性格が安定していないこと。
何でも手に入る美人の律子は、次第と普通のお姉さんになって行きましたし、
ブスでコンプレックスを抱えている亜子は、意外と行動的ではっきりした娘でした。
店で話かけてくる男がいたり、幼なじみの要がいたりするせいか、亜子ってそんなにブスポジションじゃない気がする。




性愛関係でもあるはずなんですが、恋人というよりも親子っぽい感じがするので、読む側の捉え方次第かなってのはあります。
(律子が亜子のことを妹の代わりみたいに考えてるなら無理か。)
個人的にはもう少し恋人っぽい描写がほしかったです。