奇妙な店長の戯言部屋

百合好きオタによる妄想と百合の戯言な日々

性遍歴(松本侑子)


性遍歴

性遍歴


<あらすじ>
5話中2話百合。
『新しい扉』
都内のマッサージ店のマネージャーをしているマサコは、恋人のルリ子に去られ、三十になった自分にはもう恋のチャンスなんてないんじゃないかと思っていた。そんなある日、客としてやってきた年上の女性・敬子にマサコは惹かれた。四十代とは思えない綺麗な体と、小さな出版社の社長という経歴に興味を持ったのだ。しかし敬子への興味は次第に恋へと変わっていき……。






以下ネタバレ

                                • -

忘れられない友人との思い出『ナツメの実』と、ふたりの女性の視点から描かれる『新しい扉』が該当作品です。



『新しい扉』は、レズビアンアンソロ『カサブランカ帝国』に掲載された作品だけあって、ガチのハッピーエンドでした。
過程が少し飛んだような気もしますし、ちょっと言い訳くさいところもあったんですが、11のふたりが結ばれるところはすごく気に入ってます。
好きで堪らないって描写がよかったです。


 アタシは歓びと快楽に、息もつけないくらいあえいで、暴れた。敬子さんはうわごとのように「マサさんに感じてほしい」とつぶやきながら、アタシにしがみついて、気が狂ったように胸をこすりつけてくる。
(中略)
 二時間も、たがいを供出しあう饗宴は続き、満腹になるまでむさぼりあった。びしょびしょに濡れてふくれあがった性器とおっぱいを、私たちは一つの大きな毛布でくるんで、朝まで眠った。敬子さんが先に寝ついた。アタシが後になったのは、たぶん幸福すぎて夢のようだったからだ。


エロい描写ですけど、「好き」が溢れているシーンです。
好きですねえ。



それと、最初の方、レズビアンであるマサの片想い中、敬子の部屋にマッサージをしに通っているとき、思わずしてしまった描写も共感できましたw


 アタシは仕事で呼ばれたのだから、万が一、二人でベットになだれこむ、なんていう展開になる可能性はない。ましてや、敬子さんは異性愛者だ。
 にもかかわらず、もしかしたら……、という甘い期待がぬぐいきれない。
 敬子さんがアタシの自慢のテクニックにまいってしまい、やがて身悶えを始め、悩ましいため息をもらしながらあえいできたら……。ついに彼女はベッドから訴えるようにアタシに手を伸ばし、ねぇ、なんて誘惑してきたら、どうしよう!
 なーんていう、あらぬ妄想に身を焦がして、毎日、ドキドキしていた。


あーやるやる、そうゆうあり得ない妄想w
男子高校生がやるエロ本妄想みたいなやつw




以前紹介した『花の寝床』収録の「防波堤」も30間近の女性の話でしたね。
これも、30歳と40歳という年齢高めの恋愛なんですが、描写がかわいいです。
図書館で借りたんですけど、是非とも手元に置いておきたくなる話でした。





表題作は微妙でしたが、女装者の恋を描いた『女装夢変化』や、服装の男女差がなくなった未来『初恋』もおもしろかったです。
体格差もなくなり、男性がスカートを履くのが当たり前になったという『初恋』は近未来型なので、特におもしろかったのですが、微妙に矛盾が孕んでて、そこがちょっと気になりましたね。
同性愛も当たり前になって、性なんて気にしてないはずなのに、やっぱり女か男かが気になるみたいなんですよね。



でもまあ、どれもオススメです。