奇妙な店長の戯言部屋

百合好きオタによる妄想と百合の戯言な日々

聖者の行進(栗本薫)


聖者の行進 伊集院大介のクリスマス (講談社文庫)

聖者の行進 伊集院大介のクリスマス (講談社文庫)


<あらすじ>
クリスマスも近い冬のある日、伊集院大介と藤島樹が店で飲んでいると、懐かしい人物が店のドアを開けた。男装の麗人たちがホストをつとめ、ニューハーフたちがホステスをつとめる、かつて樹が働いていた《ママ・ジョーズ》のママさんであるジョーママ。一世を風靡していた頃を懐かしく思い、20年ぶりの再会を喜び合う。そしてかつての仲間たちの話をしていたら、ふいにジョーママがある事を口にした。それは……。




以下ネタバレ

                                  • -

50の坂をこえた男装の麗人・藤島樹。
冒頭から衝撃の告白をしてくれますね。
樹が学生時代に強姦されたという話はしていましたが、まさか…。
まあ、本編には関係ない話なんですけど。



ジョーママと再会したことにより、ホスト時代を思い出し、ユラとの恋人時代のことも思い出す。本当にユラのことが好きだったんですね。
ユラとのエピソードが気になる方は是非とも『魔女のソナタ』をお読みください。
しかしなぜ絶版なんかに、、、




殺人事件も起こらず、脅迫されたって話だけで終わるのかと思いきや、急展開。
「近づかないほうがいいですよ。かなり垂れ流しているから」っていう伊集院の言葉がやけにリアルです。





ドラッグクイーンであるジョーママを始め、男装の麗人、ニューハーフ、レズビアン、ゲイが働くある意味異空間とも言えるかつての《ママ・ジョーズ》。
ラストの「聖者の行進」が切なかったです。


 そう、ここはソドム――すまう人々はみな、炎にいつか焼き尽くされてゆくだろうけれども、それでも私はロトとともに脱出したりなんかしない。ましてや、懐かしんでその悪徳の都をふりかえって塩の柱にされてしまったロトの妻のような未練な生き方なんかしない。私は大声で笑いながら炎のなかに身を投じて滅びていってやる。それが、ソドムに生きるものの心意気というものだ。


かっこいいです、樹さん!
「大声で笑いながら炎のなかに身を投じて滅びていってやる」の部分がまさに藤島樹です。





その他、伊集院大介シリーズで男装の麗人・樹が登場するのは以下の作品です。
『魔女のソナタ』のレビューはこちら
『水曜日のジゴロ』のレビューはこちら



やっぱり百合度が高いのは『魔女のソナタ』ですね。
樹の元カノのエピソードですし。