奇妙な店長の戯言部屋

百合好きオタによる妄想と百合の戯言な日々

にじいろガーデンのインタビュー

以前紹介した、小川糸さんの「にじいろガーデン」のインタビュー記事が集英社の読書情報誌「青春と読書」に載っているとけろさんに教えてもらったので、さっそく本屋さんで探してみました。
9月20日発行のフリーペーパーなので、そこらへんに置いてあるはずです。
置いてあると思ってきょろきょろ探してたんですが、いつもの本屋にはなかったので、もう一軒行ってきょろきょろ。
全然見つからず、けろさんが「無料ですけど一応定価90円」と言っていたので、もしやと思い「小説宝石」や「野生時代」、「小説現代」などの小説雑誌のコーナーの棚を見たら、棚の中に入ってました。
無料なのに棚に入ってる……とちょっと心配になったので一応レジへ。
「こちらフリーペーパーになります」と言われてほっとして持ち帰りました。



フリーペーパーって案外すぐに無くなってしまうものなので、まだ本屋さんにあるのか分からないので、インタビューの中でいいなって思ったところを一部抜粋。

それぞれ欠点はあるけれど、補いあっていくのが家族。自分という人間と同じ人はひとりもいない、ということを前提に、違いを認識して、理解しあって前に進むことが大切だと思いました。

ちょっとネガティブな言い方かもしれませんが、人と人は努力なしに理解できない、と覚悟しておくことが大事ではないでしょうか。
(中略)みんながそれぞれの宇宙を持っているのだから、ただ黙っていただけでは気持ちを分かちあえない。(中略)相手と自分は違う生き物なのだ、と思った上で、お互いを尊重するのが、長続きする秘訣なのではないかと思います。

たとえば親子関係でも、血のつながりがすべてだ、と考える必要はないですし。もし不幸にして実の親とうまくいかなかっとしても、それに縛られることはなく、距離を置くことも選択肢のひとつではないかと思いますね。実の親といい関係を築けたり、生涯の伴侶と出会えることはとてもラッキーなことだけれど、すべての人が最初から、あるいは失敗なくラッキーを手にできるとは限らないのだから。もし間違ってしまったら、自分でまた新たなラッキーを探せばいいだけのことだと思っています。

この他にもいろいろと良い言葉がありました。
数ページではありますが、セクマイのこと、家族のこと、人生のこと。
なんだかインタビューを読んでると、この作品はセクマイの話というよりは、家族の話なんだろうなって思いました。
インタビューの質問の中で「つらい現実」とかあまり穏やかではない言葉が入っていたので、読むには覚悟がいるかもしれませんが、それでも読むのが楽しみになりました。



「それぞれ欠点はあるけれど、補いあっていくのが家族」っていうのは、アナ雪でも似たような言葉がありましたので、本当に大切なことなんだなって思いました。
店長の家はただ今、母方の祖母、母、店長の3人暮らし。ときどき兄が帰ってきますが。
「自分の母親なのに一緒にいるのがつらい」と母がこぼしてます。
祖母のためにといろいろやってあげていても、祖母からは「ここは他人の家だから、自分は我慢ばかりしている」と言われます。



土曜日に買い物に出かけようとしたときに「今日は(亡くなった)おじいちゃんの誕生日だからケーキを買ってきて。あとお母さんもそろそろだから一緒に買って」とお金を渡されました。
母とケーキを選びながら、これはおばあちゃんが食べづらい、こっちなら食べるだろう、こっちとこっちどちらを選ぶか分からないから余った方を食べよう、などと祖母中心の選び方をします。
我慢なんてお互い様なんですよね。
「ここに居たくない。震災のときに死んでいればよかった。死にたい」ということを言われるくらいなら、いっそ老人ホームに入れてあげた方がいいんでしょうね。
こっちが家族になろうと近寄っても、他人だからと言われてしまいます。



一度、祖母の言葉に傷ついて母が泣いて家を出て行ったことがあります。
仕事から帰ってきたらそんな状態だったので、祖母と話をしました。
「うちらは家族なんだから、家族として扱って。じいちゃんだって亡くなるときはここを家だと思ってくれてたよ。他人の家だなんて言わないで」
どんだけ言っても、きっともう忘れちゃってますよね。
そのときは泣いて謝っていたのに、すぐに「自分は我慢している」と言います。
譲歩したくても、祖母が何を我慢してるのかわからなくて、譲歩のしようがないです。



「みんながそれぞれの宇宙を持っているのだから、ただ黙っていただけでは気持ちを分かちあえない」って本当ですよね。
言葉にしてくれなきゃわからないんです。
ちゃんと聞くから、言葉にしてください。
コロコロ意見が変わって、その度に真摯に向き合っていくのは疲れることですが、それでも言ってもらわなきゃ分からないです。



店長、自分がビアンだと自覚してから結婚も子供も自分には関係ないものだと思ってました。
この先女性の恋人を持っても、その人と一緒に暮らして一生過ごすというイメージがなく、いずれお別れする愛しい人というイメージがありました。
でも、このインタビューを読んでたら、一緒にいられる誰かがほしいと思ってしまいました。
まぁこんな店長と一緒にいたいと思ってくれる人がいたらですけど(笑)



短いインタビューでしたが、いろいろと考えさせられました。
けろさん、教えていただきありがとうございました。