奇妙な店長の戯言部屋

百合好きオタによる妄想と百合の戯言な日々

呼吸─友情と破壊

以前紹介した、映画「呼吸─友情と破壊」 の上映が都内であったので見てきました。



「呼吸─友情と破壊」(原題:Respire)


公式HP
http://www.myfrenchfilmfestival.com/ja/movie?movie=37262


<あらすじ>
シャルリは控えめで成績優秀な高校生。17歳、それは友情、ときめき、確固たる自信、そして情熱にあふれた年齢。高校最終年のある日、サラという少女が転校してくる。美人で、派手で、何か過去がありそうな、個性的な彼女は、たちまちみんなの人気者に。そんなサラが友達に選んだのは、シャルリだった。彼女達は急接近するが、彼女達の関係は謎めいたサラの生活と共に次第に危うさを露呈していく。そして次第に予期せぬ方向へ向かって行く。
女優メラニー・ロラン(『複製された男』、『オーケストラ!』)の長編監督2作目。「自己愛の強い倒錯者について語りたかった」というねらいを見事に実現した意欲作。
「サラ役のルー・ド・ラージュは、穏やかな表情から、サディスティックな顔へとワンカットで切り替わる。シャルリ役のジョゼフィーヌ・ジャピは狂気の淵でのあやうい綱渡りを、見事に演じた。2 人ともこれからの活躍が楽しみな女優だ。」(テレラマ)
2014年カンヌ国際映画祭国際批評家週間特別上映作品
第5回マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル 国際報道機関賞受賞



以下ネタバレ

                                                          • -


すごい映画でした。
見ている途中で心がひりひりしてきます。



浮気しているかもしれない暴力的な父親と、ヒステリックを起こして泣く母親。
そんな両親に挟まれて窮屈な日々を送るシャルリ。
そんなある日、サラという転校生がやってくる。
真面目で優等生なシャルリはサラの面倒を見るよう担任に言われる。
美人で個性的なサラに惹かれ、急速に仲良くなっていく2人。
以前の友人たちから離れ、2人きりで会うことが増えていく。
夜遊びもタバコもお酒もサラが教えてくれた。



2人で遊んでいるシーンはすごく楽しそうで、見ているこっちまで笑ってしまうほど。
親友って呼べるほど仲の良い友人と遊ぶときってこんな感じだよねって気分になってきます。



でも、ほんの少しの擦れ違いで歪みは生じる。
些細なひと言。
でも女はそのひと言で傷つき、恨んでいくもの。



世の中には「女同士の友情は上辺だけ」「女同士の友情は儚い」などという人もいるようですが、女同士の友情は時に濃密に絡み合い、恋人同士のように嫉妬や疑念、独占欲にまみれてしまうこともあるんです。



サラと恋人ごっこをする場面があるんですが、そのときにシャルリは男性役で「サラ、君が好きだ。キスしたい」と言います。
サラは酔って「まだダメよ」などと言った後にキスをして、いきなりビンタしてきます。
「まだダメと言ったでしょ」と。
「好きだ」というシャルリの言葉は、本心が混じっていたんじゃないかなと思っています。
シャルリにとってはサラはそれほど大切な存在だったから。



しかし2人の間に生じた歪みはどんどん大きくなっていきます。
気持ちの擦れ違いは次第にシャルリへのいじめへと発展していきます。
しかしシャルリはされるがまま。
周りの友達が心配し、なぜ抵抗しないのかと言っても耳を貸しません。
サラからのいじめを受け入れるのは、自分への罰と思っているのか、いずれサラが戻って来てくれると信じているのか。



サラに「私のこと嫌いになった?」と聞かれ、「いいえ。離れたくない」と答えるシャルリ。
不安症の発作から、息が出来なくなってしまうシャルリにとって、サラは呼吸の出来る場所なのかもしれません。
離れてしまうこと、無視されること、嫌われること、それは息が出来ないくらい苦しいものです。
「離れないで…、無視しないで…、嫌わないで…」画面からそんな言葉が聞こえてきそうで、思わず涙が出てきそうでした。
どこで間違えてしまったのだろうか。
どうしたらやり直せるのだろうか。
ただひたすら耐えて待つしかない。



シャルリ役のジョゼフィーヌ・ジャピの最後のカットにゾクリとさせられました。



見終わって、友達と見に来ればよかったと思いました。
「友情と破壊」まさにそんな感じですし、「呼吸」という題名にとても合ってるくらい息苦しくて、声に出さないといろんな感情が内側に溜まってしまうように思えました。
すごかったです。
日本で全国上映してもらいたいくらいです。
シャルリ役のジョゼフィーヌ・ジャピも、サラ役のルー・ド・ラージュも綺麗でした。
個人的にはシャルリ役のジョゼフィーヌ・ジャピが好みですw