奇妙な店長の戯言部屋

百合好きオタによる妄想と百合の戯言な日々

キネマ純情

以前紹介していた「キネマ純情」、見てきました。




公式HP
http://kinema-junjo.com/


<あらすじ>
私達、「秘密」を撮ります。
―――少女たちはキャメラレンズの奥に何を見たのか
高校演劇部のヨシエ(洪潤梨)は、親友・アカリ(荒川実里)、部長のアキ(柳杏奈)と共に、姉・ケイコ(上埜すみれ)に誘われ、自主映画に出演する事になる。が、サディスティックな監督のナオミ(中村朝佳)に精神的に追い込まれ続けるうち、安定していたはずのヨシエたちの関係に歪みが生じる。アキはカメラの前で思いがけない「秘密」をアカリに告白、動揺したヨシエもやがて本当の自分の想いに気づく。様々な感情が交錯する中、物語は急展開、やがて想像を超えたクライマックスを迎える…。




以下ネタバレ
※この映画の関係者やこの映画のファンの人は読まないでください


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主人公ヨシエが、ナオミの自主映画に付き合わされているうちに、自分が親友であるアカリに恋心をいただいていると自覚し、ついでにナオミの過去の呪縛を取り払おうという感じの話です。



公式の方に関係図が載っていましたが、
主人公ヨシエ→←親友アカリ←部長アキ
ヨシエの姉ケイコ→←監督ナオミ
という感じ。
ケイコとナオミは付き合ってましたが、途中で喧嘩して仲違いします。



なんていうか、現在進行形で進む物語よりも、彼氏持ちの先輩・アヤノさんに片想いしてたナオミさんの設定が個人的に好みでした。
サディスティックにナオミを刺激してくるアヤノ。
2人きりの撮影が大切な時間だったのに…って感じがしました。
あのアヤノさんの最後のセリフもあああぁぁぁって悶えました。
そして最後のあのワンシーンだけは泣きそうになりました。
ナオミ役の中村朝佳さんは以前から映画やドラマに出ているだけあって、演技上手いです。
他の子もけっこう上手かったです。
特に上埜すみれさんの顔芸とかwww



まぁでも正直な感想としては「キネマ純情」は男性向けの映画ですね。
上映中も観客の男性達は楽しそうに笑ってましたが、個人的には笑えない部分もありました。
監督は百合男子な要素があるので期待してたんですが、女性をバカにしてるのかなって気分になって、後半しんどかった。



途中で喧嘩別れしてしまったアキが、ヨシエ達の撮影を邪魔するために、退部した後輩やナオミの撮影陣を使って襲ってきます。
「僕を笑った人たちです」とか言って、後輩を襲うシーンは本当に嫌だった。
アキは性同一性障害だったので、こちらからしたら、男性が女性を襲っているシーンにしか見えなかったです。
そして、ツイッターで女性を集めて、撮影しているヨシエ達にキスをしたらお金を払うという約束で、女性達にヨシエ達を襲わせます。
このシーンもキツイ。。。
下手なAVを見せられてる気分になるくらい、愛もなくキスを迫る女性達のシーンが続きます。
ぶっちゃけ、生まれて初めて女性のキスが気持ち悪いと思いました。



映画史上最も女性同士のキスがある映画、みたいなことを言っていますが、キスシーンとして良かったのはナオミとアヤノさんのキスシーンとラストのキスシーンくらい。
あとは恋してるというよりも、性欲のままに気持ち良くてキスしてるって感じがしました。
アデル、ブルーは熱い色」は生々しくてトラウマになったとネットで言ってる人がいましたが、初めてその意味が分かりました。
人の性欲を半強制的に長時間見させられるのはキツイです。
アデル、ブルーは熱い色」は性欲じゃなくて、愛ですけどね!!!
おまえら恋をしろ!!!



出ている女優さん達の演技が良かっただけに、演出が最悪。
ギャグポイントは監督の色というものなので別にいいんですが、オープニングのたくさんの手に揉みくちゃにされるというのに、スタッフの頭出ちゃうし、笑いながらやってる顔出ちゃうし、頭を出すのか出さないのかはっきりしろ!!!
あと同じシーンを別カットで映すというのに、同じ動きをしていないせいで違和感がある。
回想シーンとか挟んでるのに、まったく動いていなくて、「おまえまだ悩んでたの!?動き出せよ!!」とツッコみたくなるのが数回。



昨日ツイッターで、

「キネマ純情」は同性愛や性同一性障害を扱ってる割には当事者に優しくない。性同一性障害の役の子が丈の短いスカートを履いていたり、女性用スク水を着ていたり、失恋して壊れて女性達にキスして征服しようとしたり、黒い服に帽子を被った姿を男装と言ったり…この設定いらなくない?

という感想を書いていたら、監督からリプいただいた。


はじめまして。「キネマ純情」を、ご鑑賞頂き有り難うございます。私は長年自身の性的違和感で悩んでおりまして、その想いを今回の作品に託して正直に描いたつもりではあります。私の性的違和感は女装をすれば解消するものでなく映画を撮ることでしか解決できませんでした。今も続く違和感を正確に描くには微妙な感情の矛盾と残酷さを伴う事が大切でした。私自身が感じる痛みを正直に描いてゆくと本作のような表現になってしまいましたが、それを当事者側のひとつの感覚として受け止めて頂けると幸いです。

なのでお返事した。この返しに対しての返事はないですけど。

はじめまして。リプありがとうございます。監督の性的違和感についての話は映画のHPで拝見させてもらいました。私は性的違和感のないレズビアンなので監督の悩みとはまた違いますが、マイノリティという立場は同じと思い、期待して見に行ったのですが、少し悲しかったです。
監督のように女装をすれば解消されるものではないということがアキにもあればよかったんですが、アキは男性の姿をすることが本当の自分になれると言っていました。性的違和感は個人差があるとはいえ、出来ることならそれを最後まで通してほしかったです。

監督がHPで言っていたのは以下の通りです。


井口昇監督のコメント
この作品を撮るために生まれてきた
僕は自分にとって大事な事を語りたくなる時、必ず女性が主人公の物語になってしまいます。
男子の話が嫌だという訳でないけど、自分の心の奥にある気持ちを伝えたい時、女性の人物に託してしまうのです。
小さい頃から、女の子どうしが手を繋いでトイレに行ったり、軽いノリでキスできたり戯れられる女子の姿に憧れ、それが叶わない息苦しさをずっと感じて生きています。
この作品は自主で作っているだけに、思い入れの強い作品です。
主人公の5人の少女は、それぞれ自分の分身でもあります。愛とか、死とか、運命とか。


どうしても描かなくてはいけない事を託せる女優さんを自分で探したくなり、オーディションをやりました。
そして選んだ5人で「ノーメイクス」というアイドルを結成し、主演をして貰いました。


アイドルは、女神でもあります。「ノーメイクス」は繊細かつ大胆な演技でスクリーンに輝いています。
それは僕の想いよりずっと力強く、感動的に、迷える人々を救ってくれる気がしています。
いま、思います。僕はこの映画を彼女達で撮るために生まれてきたのだと。

そういうのを踏まえて見に行ったのに、監督の言う「少女たちの戯れ」っていうのはああいうことを言うのかと苛立ちました。
性違和感は個人差がありますし、監督のが百合に混ざりたい系男子にも感じたとしても、セクマイについてはほんとに千差万別なので追及はしません。ただ、
LGBTをセックスモンスターに仕立てるな!!!!!
一緒に観に行ったレズ友もご立腹です。
あの映画で笑って観てるのは、LGBTを現実のものとは考えていないで、AVの世界か何かの話だと思ってる人くらいです。
キス軍団についてはほんと女性軽視しているようで不愉快でした。
セクマイの人に、オススメだよとは絶対言えません。



アイドル同士の“百合キス”に漂う切なさと愛おしさーー姫乃たまが『キネマ純情』を鑑賞
http://realsound.jp/movie/2016/03/post-1220.html



上記の紹介記事の中に「高校の時に同じクラスだったニヒリズムな男の子が、女子同士でいちゃいちゃしている文化系のクラスメイトを「(女友達の)膝の上に乗っちゃう系女子」と揶揄していました。」って書いてありますが、文化系っていうかオタク女子がベタベタしてたってことでしょ?
恋じゃなくて、ただの肉体の触れ合いのようにしか見えなくて、あれを少女同士の恋を描いた作品とは言いたくない。
女の子がキスしまくりで、いちゃいちゃしてるのをただ見たいっていう百合好きだけが見ればいいです。



ちなみに、


東京 渋谷アップリンク 3月12日〜4月1日
新潟 シネ・ウィンド 4月2日〜8日
愛知 名古屋シネマスコーレ 4月30日〜6日
大阪 第七藝術劇場 順次
京都 京都みなみ会館 順次
広島 横川シネマ 順次



渋谷アップリンクは25日までだったんですが、延期が決まったそうです。
ただ、最終日以外は昼間の回のみですので、気になる方はアップリンクのHPで時間をチェックしてください。