くらしのいずみ(谷川史子)
- 作者: 谷川史子
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2008/01/28
- メディア: コミック
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<あらすじ>
7話中1話百合。
『早春のシグナル』結婚式の友人代表のスピーチをしてもらうということで、婚約者である亜未の親友・千聡を紹介してもらった信一。亜未の話の通り、美人でやさしそうな千聡に緊張する信一だったが、亜未が席を外した途端に千聡の態度が一変。信一を毛嫌いするような雰囲気の千聡。式の準備のため三人で行動するようになるが、信一は千聡の言動が理解できずにいた。そんなある日、眠る亜未に千聡が……。
以下ネタバレ
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夫婦をテーマにしたじんわりくる話の中、特によかったのが『早春のシグナル』ですね。
亜未の前ではやさしいのに、信一の前では態度が一変。
「俺どっか気に入らないとこでもあるんすか?」
「全部」
千聡の気持ちはよくわかります。
彼氏ってだけでもムカつくのに、婚約者だなんて。
「……くちびるにふれたかった。
いつまでもいちばん近くにいたかった。男なんてキライ。
男ってだけで亜未に恋ができるんだもの…」
よく使われる言葉なんですが、やっぱり一番じんときます。
言葉に出せずに飲み込んだ想いの強さが現れています。
「告白してみろよ」
なんて信一が言ってきたときは、千聡のように、「勝者の余裕」なんて怒りたくなりました。
「……10年間がみんなだめになっちゃう。もう会えなくなっちゃう。
それだけはどうしてもいや…」
このあとの展開は、やっぱり谷川史子さんのすごさですよね。
もう涙がでそうでした。
本当だったら、好きな人のそばにいるムカつく存在でしかないのに、ラストの「なんか すげーうれしくて」ってセリフで千聡の想いが救われた気持ちになりました。
千聡の言えない苦しさも、信一のやさしさも、胸にじーんと来ます。
恋人の信一視点で物語が進むんですが、信一が良い奴なんですよ。
たぶんそれは、信一も亜未の幸せを望んでるからでしょうね。
亜未と千聡が仲良さそうにしてるのを見て、「満ち足りた顔して なんかちょっといいなあ…」と思ってるあたりで伺えますよね。
いつか千聡のようになりたいです。
大好きな人を「世界一しあわせになって」と見送って。
大好きな人を自分の代わりに幸せにしてもらって。
あーやっぱりラストの原っぱのシーンがめちゃくちゃよかったです。
他の話も、切なくてやさしくて胸にじんわり来ました。
どの話も涙がでそうになりますね。
青年誌の本ではありますが、やっぱり少女漫画としてオススメしたいです。
一話一話はすごく短いんですが、一読してください!