奇妙な店長の戯言部屋

百合好きオタによる妄想と百合の戯言な日々

セバスチャン(松浦理英子)



<あらすじ>
二学年を終了したと同時に大学を辞めた麻希子は、イラストの仕事をしながらどうにか生活をしていた。そして、考えることは背理のことばかり。背理は大学でできた友人であり、「主人と奴隷」ごっこをしていた相手。大学を辞めた今でも主従関係は変わらず、麻希子にとって背理は世界で、その他は体の一部だった。そんな麻希子は、左足が少し不自由な少年・工也に出会う。自分と同じである工也に、麻希子は次第と……。





以下ネタバレです。



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麻希子はどんなときにも背理のことを考えているのに、背理は麻希子をどう思っているのか読めない。
愛のない苦痛はただの苦痛でしかなく、快楽にはなり得ないと思います。





松浦理英子さんの書くサディストは、マゾヒストをどれほど愛してるのかわからなくて、読んでいて不安になってきます。そのせいなのか、松浦さんの作品を読んでいると、無性にだれかに会いたくなります。強く強くだれかを渇望してしまいます。





「あの子の天秤にかけて私より重い物はないわ。」
って自信を持って言える相手がほしいですよね。でも、そうゆう相手ができたら、きっと冷たくしてしまいそう。すごくすごく好きだからこそ、どこまでついて来てくれるか試すかも。






なーんて、中二病が言ってみる。




とにかくおもしろいのでオススメ。
律子の従妹がちょっとおもしろかったです。
「流民子のためになんか死なないけど、あの子のためになら何だってやるわよ。」
と律子に言わせるくらいなんだから、将来有望そうですよね。


81年発売で、松浦さんは当時21、2才だったというんだからすごいですよね。店長、今22だけど、こんなこと考えられないもんな。
作品数の少ない作家さんだから、試しに読んでみるのはいいかも。




うちの小説支店には松浦さんのほかの作品も置いてあるので、覗いてみてください。オススメはデビュー作『葬儀の日』。この中の「乾く夏」ってのに、最高に気持ちいい自慰の仕方ってのが載っていておもしろかったです。
どんなことが書いてあるのか気になる方は、自分で読んでみてください。絶版作品なので、古本屋で探すしかないかも。新装版で出てくれれば一番いいんですが。。。