花のもとにて(堀田あけみ)
学校の近くや帰り道で、たくさんの金木犀の濃くて甘い匂いがしてました。
そんな金木犀の香りを嗅いでると、ある作品を思い出す。
- 作者: 堀田あけみ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2000/01
- メディア: 文庫
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<あらすじ>
憧れの先輩・大沢に近づきたくて、同じ心理学の大学院に入学した響子。大沢と同じ部屋になりたかったが、実際になったのは大沢の恋人・亜々子のいる部屋。響子は、いつもからかうようにしゃべる亜々子のことが嫌いだった。しかし、大沢が事務の杉原を好きになり始めた頃から何かが狂い始める。一途に愛を求めボロボロになっていく亜々子に、次第と響子は……。
以下ネタバレです。
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果たして主人公は響子なのか亜々子なのか。
こうゆう文章を読み慣れてないせいか、視点がよく変わるのが少し読みづらかったけど、慣れてしまえば内容に引き込まれ、すぐに読めると思います。
亜々子が切なくて切なくて。
どうして大沢をそれほど愛してしまったんだろう。
大沢のような奴を「いい人っぽい」って言うんだろうな。
優しく受け入れているフリをして、内心では自分が正しいと思っている、幼稚でわがままで偽善的。決して「いい人」ではない感じ、「っぽい」止まり。
かなりムカつく。どこの神経で話をしてるのか聞きたいくらいです。
で、どうして金木犀でこの作品で思い出すかっていうと、表紙にもありますが、小説内で金木犀が出てくるんですよ。
けっこう重要なシーンで。
夜空を見上げると、むせ返るような甘い匂いと金色の樹って幻想的で素敵ですね。
大沢に愛されたいと願った亜々子。
亜々子に愛されたいと望んだ響子。
最後の「あれは、私の愛した女性が、この世で一番愛した男。」って一文が好きです。
亜々子も響子も切ない。
後半の叶わない百合展開は特に。
ただひとりの人に愛されたかっただけなのに…。
こうゆうオチが嫌いな人もいると思いますが、一読の価値ありかと。