禁じられた吐息(山崎洋子)
- 作者: 山崎洋子
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1996/09
- メディア: 文庫
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4話中1話百合。
『月の吐息』、高校生の娘・実来を持つ藤堂と結婚した苑子。幸せな生活を送っていたのだが、この数ヶ月、短大生になった実来が突然苑子に冷たく当たるようになってきた。あんなにも懐いてくれていた実来がなぜ急に?実来のピアノ教師である房子に相談を持ちかけてみると……。
以下ネタバレ
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藤堂との子を妊娠してから苑子に冷たくなった実来。
不審に思った苑子は実来に声をかける。
「恋をしてるの……」
くはっwww
若い故にはっきりと言う実来はよかったです。
「でも憎たらしいライバルがいるわ。子供までつくって……あたし、そいつを殺してやりたい……」
気づいてやれよ、苑子!こんなに愛されてるのに!
実来の言葉に動揺し、房子のせいで、実来が父親と出来てるんじゃないかとあさっての方向に考えを巡らしてしまう感じがなかなか。
「あたしだって努力はしたわ。でもやっぱり、あなたのことをママだなんて思えない……だって、ママじゃないんだもの……」
百合だと知らずに読んでいると、やっぱり継母は親と思えないのか・・・などと考えてしまいますが、端から百合だと知ってる人には身悶えなセリフですよね。
百合エンドと言えるのかどうかは微妙ですが、けっこう良いオチでした。
店長的に最後の段落の「闇の向こうからたぐりよせようと…」って好きですv
しかし、これって最初から両想いだったんじゃないですか?
読んでいると意味深なセリフがいくつか。
実来のピアノの先生である房子の存在とか、百合フィルターがかかってると大体展開は読めてしまいますし。
その他に、自分の息子かもしれない青年との出会い『蜜の肌』、キャリアウーマンが知ったサディスティックな遊戯『甘い血』、女教師が生徒へと向けた異常な愛『熱い闇』、どれもオチが曖昧で、暗闇に落としてきてしまった感じがおもしろかったです。
ハードも文庫も絶版になっているので、入手困難なのが残念。
こんなにはっきり言っているのに気付かないってパターンが店長好みでめちゃいいんですよ。
文庫の再発行を強く希望します!