包帯をまいたイブ(冨士本由紀)
- 作者: 冨士本由紀
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2000/01/20
- メディア: 文庫
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<あらすじ>
「この愛にふるえてる…。「僕」が欲しいのは彼女の躯だけ。それも心付きで。(帯より)」
レズビアン・バーで働いてるケイは、どんな女性と付き合ってもどこか冷めていた。終わりが近づいてると感じれば、どんな別れの言葉を与えようかと楽しみにしてしまう。しかしそんなケイの心には、胸にサラシを巻いた店長の麻生がいた。憧れの感情は、麻生の入院をきっかけに変わってしまう。認めたくないと思っていたのに、認めないわけにはいかないほど大きく。そしてそれは麻生も同じで。しかし、バリタチのふたりにはどうしても譲れないことが……。
以下ネタバレ
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「僕」と「ボク」という言葉の中で現れる「彼女」という呼び名。
女同士なのに、まるで男同士のように感じられるふたりの描写。
不思議な感じです。
バリタチ・・・オナベって言った方がわかりやすいんですかね。
そうゆうふたりが恋に落ちてしまったら、、、
けだるい世界で、麻生(アサオ)の存在が目を引き、麻生に頼まれれば断ることもできない。
好きなのに、素直になれない何かがある。
愛しているのに、屈辱に似た感覚を味わってしまう。
バリタチである彼女たちにしかわからない問題ってありますよね。
難しいです。
95年に単行本が発行されたんですが、現在とはどのくらい違うんでしょう。
初めて聞く言葉がいくつかあり、「レズビアン・フェミニスト」とか「ブッチ」という言葉は知りませんでした。
「包帯をまいたイブ」
とても魅力的な題名の付け方ですよね。
最初は麻生のことを言っている題名だと思ったんですが、高校のときにつけた傷が首筋に残るケイ、術後の痕が残っている麻生、ふたりのイブでした。
個人的にはケイの恋人だった冴子が言っていた「純粋な愛」がなんだか印象的。
「男と女の場合はさ、オスとメスの生殖本能が互いを引き寄せるわけよ。自己犠牲かとみまごう愛だって、本人は純愛のつもりでも、ほんとは種の保存本能につき動かされてるだけのこと。でも同性愛は種の本能に制御されてない。それなのに一緒に心中しちゃうようなカップルだっている。羨ましい。すごく羨ましい。私ね、女の友達なんかみんな嫌いだった。純粋に大好きで、何一つ邪気なくそばにいられたのは子供の頃だけよ。親友面してても陰では足の引っ張り合い。それが人間てものでしょう?」
「性欲でも生殖でもなくて、限りなく純粋なアイ」そうゆう考え方もあるんでしょうね。
確かに足の引っ張り合いする女の子もいますが、純粋な好きを表す子もいると思いますけどね。
同性に対して純粋な好きを表す人は、少なからず同性愛の部分があるということでしょうか。
「100%ヘテロ」はいないだろうということを言っている、槇村さとるさんの「51%の女」という解説が収録されています。
単行本と文庫では多少表紙が違います。
今は絶版になっていると思うので、興味のある方は古本で。