サグラダ・ファミリア(中山可穂)
- 作者: 中山可穂
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/10/19
- メディア: 文庫
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<あらすじ>
「誰かを愛するということ。誰かとともに生きるということ。もう一度、人生をかけて誰かを思ってみたくなる至上の恋愛小説。(帯より)」
孤独なピアニスト響子のもとに、かつての恋人・透子から「子供を産んだ」と電話がかかってきた。二年ぶりの再会をし、昔と変わらない想いを互いに抱き、愛し合うが、子供の存在を受け入れられない響子。元恋人の透子、その子供の桐人、そして響子、三人の不安定な関係は、透子の突然の死によって崩れ……。
以下ネタバレ
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大好きな人が亡くなるのはつら過ぎます。
つらいんですけど、読まずにはいられない、先を知らずにはいられない。
すっかり中山可穂さんにハマってしまった一冊です。
響子との子供をほしがった透子は姿を消し、ゲイのピアニスト・雅行との間に子供を作る。
初めてこの作品を読んだのは大学一年のとき。
当時は母性を求めた透子の気持ちはなんとなく分かったので、店長の中でこの作品が一番印象的となってましたね。
「カウンセリングに行ったら、男性恐怖症だって言われた。自分を捨てた父親への嫌悪感が原因なんだって。
半分は当たってる。男の人は信用できないって、どこかで思ってるところがある。
あたし、すごいマザコンかもしれない。女の人をいつも求めてた。あたしにとって母性愛というのは至高のものなのね。それがほしいっていうんじゃなくて、与えたいの。でも本当に愛せる人じゃないと、いやなのね。
(男とは)セックスもいやだったし、尊敬する気持ちにもなれなかった。どの男もみんなそうだったから、自分は不感症で、傲慢なナルシストなんじゃないかって悩んだわ。でもそうじゃないんだって、ガリが教えてくれた。あたし、ビアンだったんだ」
今はちょっと違う感じ方をするようになりましたが。
以前は透子のように、好きな人と子供を作りたいと思いましたが、きっと今なら響子のように、子供は最愛の女の愛情を独占してしまうと思ってしまうかも。
激しい愛情。激しい喪失。
どうして中山さんの描く登場人物は、こんなにも激しく人を愛せるんでしょうか。
顔にかかる母乳とか、恋人の匂いがついた指で奏でるピアノとか、意外とエロいですw
ですが、孤独なピアニストが出逢った新しい家族の形。
聖家族。
幸せな瞬間や切ない瞬間、癒しの瞬間を味わってください。
おすすめです。
新装版ということでしょうけど、どっちかというと前回の表紙の方が好きだな。。。
新装版は、最後の川原のシーンを表しているというのはわかってるんですが。