奇妙な店長の戯言部屋

百合好きオタによる妄想と百合の戯言な日々

夜、海へ還るバス(森下裕美)


夜、海へ還るバス (アクションコミックス)

夜、海へ還るバス (アクションコミックス)


<あらすじ>
「アタシは男とセックスする夢を見たコトがない」結婚を間近に控えた婚約者に自分の悩みを打ち明けた夏子。もしかしたら自分はレズかもしれない。だから結婚の前に試してみたい。女の人との「浮気」だったらいいと了承してくれた婚約者。だけど夏子は、体だけで試すのではなく、恋愛して確かめたいと悩む。そんな夜、夏子は同じマンションに住む奇妙な女性・美波と出会う。関わりたくないと思っているのに……。





以下ネタバレ

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大阪ハムレット』『少年アシベ』の森下裕美の新境地、女どうしの愛の物語。



美波と関わりたくないと思って避けようとしても、どうしても同情してしまう夏子。
少しの同情が、次第に深い愛情へと変わっていく。
そして夏子は、自分の中に眠る過去へと対面していく。





婚約者が夏子を理解しようとする姿は健気なんですが、ちょっと残念。


レズビアンサイトを探したり、ビアンの体験ブログ見たり、
父親に虐待を受けたり、オトナに悪いコトされて男嫌いになってレズになったヒトもいるという情報を知って、
「もし傷があるんやったら、ボクが治したる!」
と気張ったり。


偏見を持たずに一生懸命なんですが、逆に重い…っていうかウザいぐらいですよね。
しかしこれが普通の反応かもしれませんね。
むしろいい人なくらい。





個人的には、なんだかんだとずっとそばにいてくれる婚約者の愛情よりも、美波の暗くて深い愛情の方が好きですけどね。


 「夏子さんが苦しいの助けたい!お返しとか好かれたいとかそんなん違うモン!」
 「ただの友達やったらずっといっしょにおれるよなぁ。夏子といっしょにいたいよぉ。友達やったら許されるやろ?」
 「あの時の夏子を救ったのはアタシやで。男のアンタと違う。アタシの心と体や」






性愛シーンもあるんですが、レズビアン恋愛漫画というよりも、ひとりの女性が過去を乗り越える漫画な感じがします。
独特なタッチで好みが別れるかもしれませんが、興味があれば是非。




大阪を舞台に繰り広げられる
「男と女」「女と女」「母と娘」
それぞれの愛と憎悪の応酬・・・
甘くて、切なくて、可笑しくて、怖くて、深い物語・・・