奇妙な店長の戯言部屋

百合好きオタによる妄想と百合の戯言な日々

深爪(中山可穂)


深爪 (新潮文庫)

深爪 (新潮文庫)


<あらすじ>
「夫もいる。息子もいる。それでも、彼女を愛してしまった。(帯より)」ポルトガル語の翻訳をしているなつめは、ビアン向けのサイトで吹雪と出会った。吹雪が夫と子供のいる人妻とわかっていても、どうしようもなく好きになってしまう。体が溶けるほど求め合い、もう二度と離れられない。これも不倫というのだろうか。夫・妻・妻の愛人(女)の三角関係がつむぎ出す運命の螺旋……。




以下ネタバレ

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レズビアンサイトで出会い、不倫をして、相手の家庭を壊して、他の女に彼女を取られる話。
と簡単に言ってしまえばそれまでですし、
中山可穂さんの作品の中ではよく使われている「不倫」がテーマですし、
大・恋・愛!って感じでもないんですが、
それぞれの視点から描かれている連作なのがおもしろいんですよね。



一話目「深爪」はなつめの視点から出会いと別れを、
二話目「落花」は吹雪の視点から恋の終わりと新しい恋の始まりを、
三話目「魔王」は吹雪の旦那・マツキヨの視点から吹雪に出て行かれて、息子の嵐と二人っきりで過ごす日々を描いてます。





女同士の恋は不倫ではないと考えていたマツキヨが少しイラっとしましたが、母を求める嵐のために女装をした父親としてのマツキヨは切なかったです。





深爪 (集英社文庫)

新装版には、旧文庫版に載っている藤田香織さんの解説がないのがとても残念ですが、
中山可穂さんの作品では入門書と言われている作品なので、
中山さんの作品を読んだことがない人はこの機会に是非。