ＲＵＮ ＲＵＮ ＲＵＮ（山下卓）

RUN RUN RUN

<あらすじ>
３０歳目前、雑誌の編集をしているマリ子。２４歳、キャバ嬢で人生崖っぷちなルナ。１７歳、高校二年生のマコト。ある深夜の新宿、年齢も仕事も性格もバラバラな三人は偶然出逢い、お互いのことを何も知らないまま、温泉旅行へ出掛けることになった。それぞれが抱える事情とともに、新潟へと車を走らす。勢いだけで始まった旅だったが……。

以下ネタバレ

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『ＢＬＯＯＤＬＩＮＫ』シリーズでお馴染みの山下卓さんの書き下ろし長編。
ちなみに、『ＢＬＯＯＤＬＩＮＫ』の外伝、『ふたり』と『刹那　その時彼女が願ったこと』が百合として有名です。

高校二年、十七歳の冬。わたしは魔女にさらわれた。
二十四歳、人生崖っぷち。あたしは深夜のバッティングセンターで捨て猫を拾った。
三十歳リーチ、いまだに自分捜し継続中。私はいきなり後頭部に空き缶をぶつけられた。
―それが、わたしたちの旅のはじまりだった。

ひょんなことで温泉に行くことになった三人。
ルナが「姉妹みたい」だと言ってから、三人が次第と本当の姉妹のようになってゆく様がすごくよかったです。
三人のやり取りがおもしろくて、読んでるこっちまで思わず笑ってしまう文章は流石という感じ。
しかも、その微笑ましい風景の中にふいに現れる闇が、さらに読む側を引きつけてくれます。

三人のやり取りが百合なの？って気もしますが、そこは読んでのお楽しみですよね。
まあ、三人のやり取りも充分ニマニマもんなんですけど。

「あたし、レズかもしれない」
確かに、友情とかそうゆうのとはちょっと違った感情が含まれていた思い出です。

文章で読むのもいいんですが、コミックスや映画でやってもらいたいと思ってしまいました。
ライトノベル作家なせいか、漫才みたいなノリが漫画っぽく、画付きで見たいんですよ。
ふいに現れる闇の部分とかも。
特に誰かが説教するわけでもなく、それぞれがそれぞれを受け入れる。

読後は気持ちよかったです。
いい本に出会うと、読んだ後に、胸いっぱいというか、おなかがいっぱいになりますね。
あー、読んだ♪って感じですごく満足した一冊です。
店長だけかもしれませんけど。

短いようで長い、一泊二日の旅をご堪能ください。

ただ今絶版中なので、是非とも文庫化してほしいです！