奇妙な店長の戯言部屋

百合好きオタによる妄想と百合の戯言な日々

魔女のソナタ(栗本薫)


魔女のソナタ―伊集院大介の洞察 (講談社文庫)

魔女のソナタ―伊集院大介の洞察 (講談社文庫)


<あらすじ>
深夜の六本木を歩く伊集院大介に、とある女性が声をかけてきた。その女性は40代半ばにさしかかるくらいの男装の麗人・藤島樹であった。樹は、伊集院に元恋人である村木由良の自殺の真相を突き止めてほしいと依頼してきた。男も女も魅力し、圧倒的な存在感で君臨していた彼女が自殺なんかするはずがない。容疑者たちを前に、伊集院はもつれた人間関係を紐解いていく。するとそこに見えてきたのは……。




以下ネタバレ

                              • -

亡くなったユラという人物をそれぞれが語り、伊集院が真相にたどり着くというものですが、みんなが語るユラという女性がとても魅力的で、ユラの放つ甘い毒を舐めてみたくなるほどです。


絶世の美女というほどではないけれど、美しく、その目に見つめられただけで惹きつけられてしまう。
見る者によってその姿を変えている魔女のような女。


他人のものは余計に欲しくなり、別れても一度手に入れたものは自分のものだと思っている傲慢さ。




かっこいいですよねぇ(´∀`人)


読んでるだけでユラに魅了されてしまいそうです。
栗本薫さんの作品をそんなに読んだわけではないのですが、生々しくねっとりとした人間に触れた感じがして、すごく引き込まれます。





そして、40代半ばの男装の麗人・樹もかっこよかったです。
レズビアンとかそうゆう感覚はなく、「樹」という存在。
ユラと暮らしていた室田という男には冷たく蔑むようであり、同じくユラと暮らしていた亜里には優しく紳士的に。
毅然とした感じがかっこいいんですよねぇ。






他人から極端に嫌われるか極端に好かれるかしかないユラ。
男からも女からも愛された彼女が内側に秘めた闇。大なり小なりみんな抱えてる闇なんですが、ひどく切なくなる終わり方でした。



伊集院大介シリーズですけど、この作品だけでも十分楽しめます。男装の麗人・樹を楽しむなら『魔女のソナタ』→『水曜日のジゴロ』→『聖者の行進』の順番で。
オススメです。



しかし、『ウンター・デン・リンデンの薔薇』といい『魔女のソナタ』といい、栗本薫さんのガチ百合ものはなぜ絶版なんでしょう。
こういう言い方をしたら失礼なんですが、あの素晴らしい作家さんが亡くなってしまったから、敬意を込めて絶版物はすべて再版すると思ったんですけどね。











愛され、嫉妬される快感を得るために、室田と亜里と三人での同棲生活をしたユラ。
男からも女からも愛されたユラの生き方を読んでいたら、大学時代を思い出してしまいました。
まあこんなにはひどくないですけど。



彼氏がいるのに、店長のことが一番だと言ってくる親友。
冗談でも愛してるなんて言われたら、どうすればいいのか分からないんですよ。
店長がレズビアンだと知っていてもそうゆうことを言ってくるんだから、どうゆうつもりなんでしょうね。
自分は彼氏とデートしてるくせに、店長が男友達と会うとぎゃあぎゃあ言ってくるし。
まあそうゆう嫉妬をおもしろがってはいたんですけど。



彼氏への気持ちと親友への気持ちは違うものだとわかっていても、ならなんで彼氏とばかり会うの?と言いたくなっちゃうんですよね。
店長は亜里のように、「それでもいい」なんて思えませんでしたね。
自分のものにならないなら、いらない。



若かったなぁ。
今ならどうゆう風になってたでしょうね。