奇妙な店長の戯言部屋

百合好きオタによる妄想と百合の戯言な日々

蛇行する川のほとり(恩田陸)


蛇行する川のほとり

蛇行する川のほとり


<あらすじ>
夏の終わりの演劇祭に向けて、舞台背景の絵を仕上げるために毬子は、美術部の先輩である香澄の家で合宿を始めた。学校でも目立つ存在である香澄と芳野と三人だけの合宿に心躍らせる毬子だったが、途中で参加した月彦と暁臣によって少しずつ何かが変化していった。そして、暁臣の言葉が、運命の歯車を回してしまった。この五人とあの夏の日を繋ぐ歯車を……。






以下ネタバレ

                                  • -

初めて読んだ恩田陸作品。
少年系というか、BL系が多いという話を聞いてたんですが、意外と百合の香りがちらほら。
『蛇行する〜』が一番百合度が高いとかで、一部で有名みたいです。



主人公が憧れの先輩ふたりと過ごすところが百合なのかと思えば、途中で男子が介入。
あれ〜?と思っているうちに、物語に引き込まれます。
演劇部で公演される芥川龍之介の「藪の中」のような謎。



一気に読んでしまったせいか、かなり感情移入しました。
好きな人がいなくなるのってつらすぎる!
後半、真相が気になるのに、切なくて読んでられなかったです。終章が特に凹みました。


毬子よりも、香澄と芳野に釘付けです。


「愛してるわ」
ずっと言えなかった一言、ずっと望んでいた言葉、香澄の想い、芳野の想い、それぞれの想いと真実が交差する。




おもしろかったんですが・・・百合的にはどうでしょう?
もっと百合描写をしてほしかったってのもあるんですが、綺麗すぎて、「好き」だと言っても、どの感情から言っているのか読み取れなかったです。
恋愛感情とか通り過ぎた繋がりって感じもしました。



濃い百合を読んでる人にとっては百合描写が少ないかもしれませんが、なかなか良い作品でした。
少女漫画とかキラキラした作品が苦手な店長には薄口でしたが、プラトニックな百合が好きな人にはかなり来るかも。
文庫版も発売中です。

蛇行する川のほとり (中公文庫)

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