花伽藍(中山可穂)
- 作者: 中山可穂
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/09
- メディア: 文庫
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<あらすじ>
「もう二度と命を縮めるような恋はしたくなかった。でもやはり無理だ。また落ちてしまった…。(帯より)」
夏祭りで太鼓を叩くためにその日暮らしのアルバイトをしている「わたし」。ある祭りの夜、たづさんと出会い、わたしたちは恋に落ちた。一夜限りの関係は、どんどん深みにはまってゆく。しかし人妻であるたづさんのその肌にどんなに触れても……『鶴』。
以下ネタバレ
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5話収録で、どの作品にもレズビアンが登場するという短編集。
レズビアンと人妻との熱い夏『鶴』、彼女と喧嘩した女性が男性との浮気に揺れる一夜『七夕』、別れた旦那がいきなりやってきた『花伽藍』、出て行ってしまった年下の彼女を想う女性『偽アマント』、色褪せることのない愛を胸に抱き続けた老女のカップル『燦雨』。
どの話もよかったです。
熱くてとても甘い時間の書き方は秀逸で、その後にくるぽっかり穴の空いた空虚さも切なくていいですよね。
それと、出会いのシーンがすごく乙女ちっくというか、大切な瞬間だというのがわかります。
『偽アマント』の肉じゃががきっかけで恋になるなんて、もろ少女漫画みたいな展開ですよね。
でもすごく憧れます。
「もう辞めたかと思ったわ」
「だって辞めたらあなたに会えなくなるじゃないですか」
わたしはどんな顔をしてこの言葉を受け止めればよかったのだろう。わたしはまっすぐに彼女を見つめてしまった。
うわーうわー(〃▽〃)
こういうことを言われたら、もう向こうが好意があるのって決定ですかね?
乙女ちっくー!
中山可穂さんのレズビアン小説は、ほとんど三十代あたりの女性が主人公ですが、『燦雨』は他に類を見ない高齢でした。
まさか七十近い女性カップルが登場するとは・・・。
時々わざと憎まれ口をたたいて愛想を尽かされてやろうと思うのだが、ゆき乃には伊都子の考えていることくらい手に取るようにわかってしまうので、愛想が尽きるどころかこの年になっても愛は深まるばかりである。死ぬまでふたりで寄り添って、枯れ木がゆっくりと朽ち果てるように命が終わればいいと、ゆき乃は願っている。
「ゆきちゃんの心臓が止まるとね、あたしの心臓も自然に止まるの(中略)そうなりますようにって、毎日お祈りしてるからね」
七十近い女性がいつまでも変わらない愛情を持って一緒にいるのは、レズビアンにとって理想でしょうね。
いや、人として好きな人と一生を共にし、一緒に死んでいけるのは理想ですね。
短編集なので読みやすいかと。
中山可穂さんの作品がどんなものか知りたい人にオススメです。