プラネタリウム(梨屋アリエ)
- 作者: 梨屋アリエ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/11/26
- メディア: 単行本
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<あらすじ>
4話中1話百合。
『つきのこども』夜になると家を抜け出して街を歩いていた磨布(まふ)は、ある夜、同じ塾に通う衣生(いなり)に「どこへ行くの?」と声をかけられた。「月に、帰らなくては」ふいに出た言葉。その夜から、磨布は衣生の家にこっそりと通うようになった。同じような背格好で、体のいろいろな部分がよく似ていて、双子のようなふたり。お互いの傷を舐め合うように抱きしめ合った。しかしある日……。
以下ネタバレ
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中学生の繊細な心を表すかのように存在する、あり得ない現象。
不安になると体から踏切の警報音が鳴り出す少女、背中に飛べない翼が生えている少年、地上から十五センチ浮いている先輩。
しかしその現象は、当たり前のように日常に溶け込んでいる。
中学生の話ということで、青春モノかとちょっと嫌煙してたんですが(児童文学ですし)、
日常の中にファンタジーが上手く溶け込んでいて、けっこうおもしろかったです。
しかも、魔法とか妖精とかじゃなく、超常現象的なところが店長的によかったです。
あとがきで、「純愛モノ」と書いてあり、確かにどれも中学生らしい想いでしたが、
やっぱり店長的には『つきのこども』が一番純愛に感じました。
他のは普通に中学生の日常だったんですが、これだけは急に幻想的な雰囲気に。
「月に帰りたい」と言った磨布、「森になりたい」と言った衣生。
月夜に照らされた官能的な時間と、純粋な愛。
大人にはわかってもらえない、ふたりだけの世界。
ラスト、磨布は寂しくないと言っていましたが、読んでいるこっちは切ないです。
久しぶりに当たった感じがしたので、ちょっと大げさに褒めている部分もありますが、
けっこうオススメです。