N・P(吉本ばなな)
- 作者: 吉本ばなな
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 1992/11/06
- メディア: 文庫
- クリック: 8回
- この商品を含むブログ (62件) を見る
<あらすじ>
48歳で自殺した高瀬皿男が書いた97本の短編を収録した「N・P」。その非公開の98話目を、当時風美の恋人・庄司が発見し、そして自殺した。98話目に関わった3人目の死者だった。それから5年後、風美は以前パーティーで出会った高瀬の子供・咲と乙彦と再会した。そして、狂信的な「N・P」マニアが風美の前に姿をあらわすであろうことを告げられる。強烈な存在である翠に戸惑い、惹かれていく風美……。
以下ネタバレ
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
初めて読んだ吉本ばななさんの作品。
この年になってまで有名な作家さんにまったく手を付けてなかったw
ってゆーか、店長、ベストセラーはあまり読まない派なんですよね。マイナー本大好き♪
( ´д`)=〇)´ν゜)・;'。
でも独特な空気がとてもおもしろかったです。
これ読んでから、数冊吉本さんの本は手を付けさせてもらいました。
この小説のあとがきに載ってたんですが、吉本さんの作品って、レスビアン、近親者との愛、テレパシーとシンパシー、オカルト、宗教、etc.をテーマにしているらしいです。
そしてこの作品は、そのすべてを詰め込んだらしいです。
「レズビアン」「テレパシーとシンパシー」みたいなテーマは店長的にも好きなので、これからも吉本さんの作品は読んでみたいですね。
登場人物は、主人公の風美、双子の姉弟・咲と乙彦、そして翠。
やっぱ重要なのは風美、翠、咲でしょうね。
本の表紙の金魚鉢を持った三人の女性が、この三人を表してるんでしょう。
68ページあたりですかね。
翠と風美が出会うシーンは。
少しゆっくり考えたかったし、このまま引きずられてゆくのがいやだった。長い髪から幼児みたいな甘い匂いがして、ぼさぼさの前髪からきらきら覗く大きな目が頼りなげで、好きになってしまいそうで怖かった。
翠はでっかい口でにっこり笑った。しまった、好きになってしまった、もう、ずっと前からしゃべってるみたいに心を動かしてしまった、と私は思った。
うーむ。判断が難しいですよね。
この好きは「友情」なのか「恋情」なのか。
しかも、物語が進んだ102ページ。
彼女(翠)は「N・P」そのものだ。だから、翠に恋してるのか、咲にしてるのか、状況になのか。わからなくなる。ことによると乙彦を気にいっているのかもしれない。
どうなんでしょ。
しかし、翠や咲は恋なのに、乙彦は気にいってる止まりなんですね(^^;)
こうゆうところが、百合な雰囲気を醸してるんでしょうけど。
独特な雰囲気の翠に惹かれる風美、風美になついてる翠。
しかし風美と翠は恋ではなく、友情レベルだという気もします。
だけど、翠自身が三冠王(異性愛、同性愛、近親相姦)と言っているので、そうなんでしょうね。
キスシーンはありましたし。
風美と翠のような、友情でもなく恋でもない、特別な存在の人がいたらいいなって思いました。
それと、翠が言っていた、もういっぺん『お父さん』が見たいという気持ちがなんとなく共感しました。
濃密でさわやかな夏を思わせ、百合とか抜きにしておもしろい本でした。
吉本さんの作品を読んだことない人は、まずこれを読んでみてください。