マルスのキス(岸虎次郎)
- 作者: 岸虎次郎
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2008/02
- メディア: コミック
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<あらすじ>
「彼女の純潔は、わたしが守る――。(帯より)」
束縛する母親、表面だけの友達、口うるさい教師、そんな毎日を過ごしている由佳里は、ある日教師に放課後呼び出された。うんざりするような説教の帰り道、美術室でマルス像にキスをする美希を見かける。優等生で自分とは正反対の美希の秘密。その日から彼女の存在が気になる由佳里。秘密を共有することで次第に距離を縮め、大切な友だち同士になったふたりだったが……。
以下ネタバレ
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ついにあの作品がコミックス化してくれました!
少しネタバレだし、少し違う気がするあらすじですが、気にしません。
原作を読んでる人にはわかっていることですから。
原作のレビューはこちら。
帯の
「彼女の純潔は、わたしが守る――。」
っていうのがいいですね。
雰囲気出てます。
「守る」とかいいながら、ねえ?いやぁ( ´艸`)
内容は本っ当に、「純愛」ですから。
男遊びばかりして、経験がある方が上だと思っていた女子高生が、「恋」をする。まさに、
初めて本当の「恋」を教えてくれたのは、女友達だった――。
ってことですよ。
小説をコミックスで読むとこんな感じになるんですね。
小説を書いたのも漫画を描いたのも同一人物ですから、忠実…っていうか、さらに良い作品になってます。
おしゃれをして、大好きな彼氏といられる自分は幸せだと思っていた由佳里。
今までの彼氏たちとの経験を美希に話すが、美希の純粋な想いに触れるうちに、何かが違うことに気がつき始める。
そして、美希が自分がしているようなことをするようになったらと考える度…。
束縛して小言ばかり言う母親の描写も、脳みそ下半身の彼氏の描写も上手くて、由佳里の寂しさが胸にきます。
「わたし達、せっかく一緒にいるんだもの、一緒に楽しくなれること話そうよ。」
「つまんなくなんてないわ。由佳里の悩みなんだから。わたしちゃんと聞くから。」
美希の言葉に救われる由佳里。
気づいてしまった自分の気持ち、やっと手に入れた自分の居場所、だけど…。
うわあぁぁぁん°・(ノД`)・°・
文章でもけっこうクるけど、画だとさらになにかがキますよ。
前半は寂しさからくる切なさですが、後半は別の意味での切なさがあります。
何回も叫んでしまいましたよ。
自分だけがその人の特別でいられると思っていたのに、他の誰かに取られてしまう悲しさ。
最終話、放課後の図書室のシーンなんかはいいですよ。
繋いだ手。
気持ちがバレないように、だけど必死で紡ぐ言葉。
そして・・・
「ああ…これが…これがキスなんだ…。…美希…ごめんね。これで……。」
漫画だからこそできる表現ですよね。
この行為にどれほどの意味が含まれているのか。
そして思わず零してしまった言葉。。。
すごく切ないです。
原作と合わせて読むと、さらにじんわりと心に沁みると思います。
切ない系百合が好きな人におすすめです。
少女漫画タッチとは違うので、絵の好みは多少あるかもしれません。
ですが店長はこの作家さんの表情の描き方や何気ないしぐさの描き方が大好きです。
『マルスのキス』で岸虎次郎さんのファンになった方は、是非『MAKA-MAKA』もどうぞ。
高いし薄いしエロいし、で、ほぼ女の子の裸ですが、全カラーのラブラブものなので、持っていて損はないと思います。